TEDとは、世界の旬な話題を一人が数分間プレゼンするイベントです。インターネット高速接続(もはや当たり前か?)があれば無料でどこでもビデオを楽しむことができます。水に関連したTEDのプレゼンを紹介します。日本語の字幕が付いていますのでご安心を。
ディーピカ・クルップ: 若き科学者の「澄んだ水」への探求
 ディーピカ・クルップさん。ご本人のウェブサイト(http://deepikakurup.com/)によると現在、ハーバード大学の学生。少林寺、テコンドーといった武術が趣味の女性です。14歳のころから、世界の人びとに安全な水を届けることを目指して、太陽光殺菌による水の浄化技術を研究しています。光触媒を応用した技術です。画像で見るとペットボトルを使った簡便なもののようです。水は普遍的人権だとして、2012年には、Catalyst for World Water(世界の水のための触媒)という、世界の水危機を触媒による浄化技術で解決しようという社会事業を立ちあげました。多数の賞を受賞しています。
 若い人が行動をして、周りが後押しをするというのは、気持ちがいいですね。わが水資源・環境学会でも、2015年には高校生の薬師寺恒紀さんが樹幹流をせきとめて雨水を集める島嶼部の伝統的な集水法についてのご研究で奨励賞を受賞しました(ニューズレター69号http://jawre.org/publication/newsletter/69.pdf 参照)。この学会も、中高生、大学生が水について関心を持った時に来てもらえる場、後押しをすることができる場になることができればいいなと思います。
デイビッド・セドラック: 壊滅的な水不足を避ける4つの方法
 都市の水不足を解決する四つの「蛇口」があると言います。遠方から水を運んでくるわけではありません。足元にある水資源です。それらは一体、何でしょう。水資源・環境学会の方ならすでにご存じの解決法かもしれませんが、現実にこの分野に関わっている人のお話は迫力があります。セドラック氏はカリフォルニア大バークレー校の教授兼環境科学技術研究所の所長です。カリフォルニアの渇水はここ数年大きな問題です。
ロブ・ハーモン「どのように市場作用が水流を維持できるのか」
 アメリカ・モンタナ州の小川が干上がる問題をどう解決できるのか?このプレゼンでは、市場取引を使った方法を提案しています。ビール会社と農民との間で取引をして、小川に水が流れるようにします。アメリカ西部の水の法律(senior water rights;先順位水利権※)のお話もあります。本学会でも、「環境用水」についての研究発表が見うけられます。日本での応用は可能でしょうか?
※ この用語については、宮崎淳氏のご教示をいただきました。
高橋 卓也(広報委員会)
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