花田眞理子
(大阪府立環境農林水産総合研究所)
覚えていらっしゃるでしょうか、昨年の今頃は猛暑酷暑の日が続く中、「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに「大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)」が開催されて、多くの人がつめかける混雑状況が連日報じられていましたね。ところで会場では高温対策として、終盤には約80か所の給水スポットが設置され、どこも長い行列ができている様子も映っていました。これらの給水機設置の目的は、もちろん熱中症対策もありますけれど、ペットボトル廃棄物の削減、さらにはマイボトル携帯というライフスタイルの定着を目指すものでもありました。
その結果、今回の万博の総括として、ごみの分別回収拠点である「3Rステーションの運営」や、フードトラックを中心とした「リユース食器の利用」と並んで、「給水スポットの設置」が廃棄物削減対策のレガシーだと捉えられているようです。たしかにこれほど大きな国家的イベントで、多くの給水スポットを設置したことは画期的で、その意味では2025年は「給水行動元年」と呼んでもよいのかもしれません。
実際に、給水機を設置した企業の一つ、OSGコーポレーションの営業戦略室長である毛洲 雅博(もす まさひろ)氏にお話をお伺いしたところ、万博に先立って、マイボトルの貸し出しも含めた給水体験イベントを通じて、給水意識と行動の拡大を図る努力をしてきたとのことでした。そして会場では同社が52か所に給水スポットを設置し、累計1200万回の給水体験と約1,000トンのCO2削減を実現できたとのことでした。給水容器の内訳ですが、開幕日には12%だったマイボトル給水が、1か月後には半数以上がマイボトル給水に増加していたそうです(同社調べ)。それは、メディアやSNSを通じた情報拡散の影響が大きかったのではないか、とのことでした。また地下鉄が動かず一晩過ごさざるを得なかった際にも、自販機が売り切れた後も給水できたのでなんとか夜をしのげた、という声があったそうです。こうした万博での体験をきっかけに、マイボトルで給水という行動が多くの人の新しい選択になればと思う、とのことでした。1
しかし残念ながら万博会場の外では、そして開催終了後は、外出時に喉が渇けば自販機でペットボトル飲料を買う、という旧態依然とした行動様式の人がいまだに多いのではないでしょうか。とにかく街中に自販機があふれているので、マイボトルを携帯するよりも簡単で便利だと思う気持ちがわからないでもありませんが、汲もうとしても給水機がまだ少ないということも理由だと感じています。いずれにしても、レガシーとして定着したかというと、首をかしげざるを得ません。
実は、私が会長を務める大阪ごみ減量推進会議は、万博期間中に地球環境基金の助成を受けて、3Rステーションにおける観察調査やヒアリング調査、リユース食器の使用実態調査などを実施致しました。本稿は水資源・環境学会の随想ですので廃棄物削減の実態については触れませんが、報告書2の最後にまとめた「2027年国際園芸博覧会の廃棄物対策への提案」の中から、「給水スポット」に関する提案を抜粋してご紹介いたします。
まず、大阪・関西万博では、OSGコーポレーションは企業の社会貢献活動の一環として無償で給水機を設置していたそうです(52台のうち1台だけはマイボトルパートナーズという組織の協賛で運営)。しかし企業のご厚意に甘えるのは限界があるように思います。2027年に開催予定の国際園芸博では、主催者が会場内に多くの給水スポットを設置していただき、終了後にはいろいろな施設への設置へと広げていくのはいかがでしょうか。
もう一つは、会期前からマイボトル持参への啓発を展開することです。今からでも早すぎることはありません。ぜひ取り組んでいただきたいところです。
こうして2025年の万博を契機として、マイボトルの携帯という行動の定着と、様々な場所での給水機の設置が進んでいく。これこそ万博のレガシーと言えるでしょう。
2025年が「関西発・給水活動元年」となることを願わずにはいられません。
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2025年5月21日、筆者撮影
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広報が不十分なのか、利用者はまばら。
2025年5月21日、筆者撮影

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